Winckelman
ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン(Johann Joachim Winckelmann)
1717年~1768年。ドイツの美術史家。古代ギリシア芸術に新たな光を当て、新古典主義の理論的主柱となった。代表作に『ギリシア芸術模倣論』(1755)、『古代美術史』(1764)などがある。ウォルター・ペイターは『ルネサンス』の最終章として「ヴィンケルマン」を設け、イギリスにヴィンケルマンを紹介した。ヴァーノン・リーはヴィンケルマンについて"first reveal the world of ancient art"('Orpheus and Eurydice')と述べている。また、ヴィンケルマンは同性愛者であった。
リーはLaurus Nobilis収録の'Higher Harmonies'において、ヴィンケルマンとゲーテがギリシア彫刻を"fashionable"にした、と述べている。
ヴィンケルマンは古代ギリシア文化を白い光の文化であるとしたため、白を好むペイターやヴァーノン・リーに好まれた。白はリーの最も好きな色で、情熱などの感情を表出しない色であった。また、白は同性愛の色であり、リーはもちろん、ヴィンケルマンもペイターも同性愛者であった疑いがある。芸術における形態の優位性などのリーの思想はヴィンケルマンに由来すると考えられる。ただし、ペイターは古代ギリシア文化の闇の側面にも注目し、「ドニ・ローセロワ」その他の作品を書いたが、ヴァーノン・リーもふくめ3者を比較するのも興味深い。
ヴァーノン・リー作品において最もヴィンケルマンの影響が大きいと思われる作品は'The Child in the Vatican'(Belcaro)であろう。ヴァティカンを訪れ、そこにある彫刻を目にする現代の少年を描いたこの小品の中に、次のような記述がある。"in these vague, white things, with their rounded white cheek, and clotted white hair, with their fold of white drapery about them, the child recognises nothing: men? women? it does not ask: for it, they are mere things, figures cut out of stone."
長編小説Ottilieの主人公・Christophは、レッシングの『ラオコーン』を読み、目を開かれ、"Winckelmann's great books"を読む。
