The Spirit of Land
The Spirit of Land
ヴァ―ノン・リーはイギリス人を両親にもちながらフランスに生まれ、ドイツ、イタリアで過ごしたこともあり、当時としては国際人であった。様々な国々を旅した際の印象を綴った旅行記もリーは多くのこしている。リーの作品中、最も多くの読者を獲得したのは、この種の旅行記であった。なお、リーは書簡の中で、"I want to travel. I dislike remaining in the same country."と書いている。
リーは「土地の霊」(Genius Loci)を感じる人で、genius lociが感じられる土地を愛した。リーにとってgenius lociの土地は主としてイタリア、スイス、ドイツ、フランスで、そこにリーは過去、滅び去ったものを感じとり、それをもとに生み出されたリーの作品から読者はノスタルジアを感じられた。Vineta Colbyは"The genius loci for Vernon Lee was a rich stew seasoned with everything she saw, read, and imagined."と書いている。ここでは、リーが様々な国や都市にどのような印象をもっていたかをまとめてみる。
なお、ヴァーノン・リーは旅の際、当時増加していた鉄道も多く利用している。鉄道に拒否感を示した作家もいるなか、リーはロンドンでは地下鉄も利用している。また、やはり新しく登場した自転車もリーは愛用しており、そのことについてのエッセイも書いている。とにかく、動くのが好きな女性であった。