Vernon Lee (Violet Paget)

Spain

スペイン(Spain)

Spain

 スペインはヴァーノン・リーがあまり好まなかった国だ。スペインは情熱の国と言われるが、情熱(passion)をリーは好まなかった。母親宛ての手紙の中で、スペインを旅行した際に感じた失望を記している。
 ただし、セルヴァンテスをはじめとするスペイン文学については、リーはこれを愛した。とはいえ、リーはスペイン語が読めず、リーの伝記作者Vineta Colbyは、リーはスペインではgenius lociを感じることはできなかったとしている。
 Sondeep Kandolaはリーのスペイン観について、"Lee envisions Spanish culture as a fevered mix of 'auto da fés and bull fights' and presents the nation as one in thrall to cruelty and sensuality."と述べている。(Kandola, Vernon Lee, P.58.)
 短編集For Maurice収録の幻想短編「七懐剣の聖母」はスペインのGrenadaを舞台にしている。これは放蕩者として有名なDon Juanの物語である。その序文には"I dare say I may have cultivated animosity against that great Spanish art of the Catholic revival, have lacked appreciation of its technical innovations and psychological depth." とある。リーは特にスペインのカトリックを嫌った。聖母マリアはリーが好んだイメージであるが、この短編に登場する王女のイメージはファム・ファタールそのものである。
 5幕ものの劇Ariadne in Mantuaの登場人物ディエゴ(Diego、実は変装したマグダレン)は"Spaniard of Moorish descent"と紹介される。
 なお、リーはスペインの対岸、モロッコの町タンジエ(Tangier)を1888年に訪れた。これは恋人Mary Robinsonとの関係が壊れたことによる精神的なダメージを癒すための旅行であったが、効果はなかった。

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