レッシング
ゴットホルト・エフライム・ レッシング(Gotthold Ephraim Lessing)
1729~1781年。ドイツの詩人、劇作家、批評家。代表作に『ラオコーン』(Laokoon, 1766)や『賢者ナータン』(Nathan der Weise, 1779)などがある。
ヘレニズム期の彫刻『ラオコーン』を論じた美術エッセイ『ラオコーン』は後に「ラオコーン論争」と呼ばれる論争を引き起こした。「ラオコーン論争」とは、絵画、彫刻などの視覚芸術を「空間芸術」であるとし、文学などを「時間芸術」として両者を区別することをめぐる論争である。自ら多くの芸術エッセイをものし、芸術における時間と空間の問題に強い関心を抱いていたヴァーノン・リーも当然、レッシングの著作に親しんでいた。時間の要素を内包する文学や音楽を、彫刻や絵画に比し、より理想的な芸術であるとするリーの考えは、レッシングの理論からきているのかもしれない。EuphorionやThe Beautifulといったエッセイ集にはレッシングを引き継いだヴァーノン・リーの芸術観を示すエッセイが収録されている。

小説Ottilieでは、イタリア文学に憧れる登場人物Christophに、イタリア文化に精通するCouncillor Moritzが『ラオコーン』を読むように勧める場面がある。Christophは『ラオコーン』に感銘を受け、さらにヴィンケルマンの著作へと書を進めることになる。
エッセイ集Juveniliaでは、リーはレッシングのことを"the most realistic playwright and dramatic critic of his day"と述べている。