ホフマン
エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann)

1776~1822年。ドイツの作家、音楽家。裁判官として働く傍ら、小説家、作曲家としても活躍した。幻想文学の名手として知られる。『砂男』(Der Sandmann, 1817)や『くるみ割り人形とねずみの王様』(Nußknacker und Mausekönig、1816)などが有名。
人形の登場する幻想譚などは、ヴァ―ノン・リーのそれとも共通している。すなわち、ホフマンの『砂男』、そして、リーの「人形」、'Sister Benvenuta and the Christ Child'にはそれぞれ人形が登場し、人形を中心とした考察も興味深い。

さらに、音楽に対する強い関心や、音楽をテーマとした作品を遺している点もリーとホフマンは似ている。ヴァーノン・リーの幻想短編は、ホフマンの幻想短編の影響下にあると言って良い。リーの「アルベリック王子と蛇女」はホフマンの『黄金の壺』、リーの'Winthrop's Adventure'や「悪魔の歌声」はホフマンの「クレスペル顧問官」('Rat Krespel')からヒントを得たと思われる。また、エッセイ'Chapelmaster Kreisler'(Belcaro収録)やドイツを舞台とした小説Ottilieにおいて、ホフマンに言及している。