スティーヴンスン
ロバート・ルイス・バルフォア・スティーヴンスン(Robert Louis Balfour Stevenson)

1850~1894年。スコットランドの小説家。『宝島』(Treasure Land,1883)や『ジキル博士とハイド氏』(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde,1886)などの作品で知られる。童謡詩ものこしている。ヴァーノン・リーが愛した作家の一人である。
ヴァーノン・リーは『ことばの美学』において、スティーヴンスンの文体に触れている。具体的には、スティーヴンスンの『カトリオーナ』(Catriona, 1893)と『誘拐されて』(Kidnapped,1886 )を取り上げ、これらの小説にプロット上は必要不可欠と言えないエピソードが含まれていることに注目している。そうしたエピソードは作中人物に向けてのものではなく、読者に向けられたものであり、読者に作用を及ぼすことを意図していると指摘している。『カトリーナ』ではDavid Balfourという登場人物を中心に論じている。スティーヴンソンの文体がリーのそれに影響を与えた可能性もある。
スティーヴンソンの動詞の使い方については次のように書いている。"Stevenson, by introducing verbs of movement about things which are motionless, supplies that sense of activity which we get from the fact of the person spoken of being in movement (the woman, remember, was waiting at table), and which he could not keep on reiterating. (217.)

また、偉大な作家であるためには、偉大な個人であることが必要であるとして、その例としてスティーヴンスンの名をあげている。また、『バラントレーの若殿』(The Master of Ballantrae, 1889)の人物はいつも興奮しているように作用しているとし、フローベールの『サランボー』(Salammbô,1862)の人物よりも高く評価している。
さらにスティーヴンソンをウォルター・ペイターと比較して次のように書いている。"Pater stands half-way to Stevenson in the tendency to note rather the emotion caused by an object in himself than to reproduce the object and trust to its reproducing its impression." (P.39.)
旅行記The Sentimental Travelerでは、スティーブンスンの風景描写について、"Stevenson's "Cevennes" have no disorder save of rocky wilderness."と書いている。