Vernon Lee (Violet Paget)

ジョージ・エリオット

ジョージ・エリオット(George Eliot)

George Eliot

 1819~1880年。イギリスの女性小説家。本名メアリ・アン・エヴァンス(Mary Anne Evans)。代表作に『サイラス・マーナー』(Silas Marner, 1861)、『ミドルマーチ』(Middlemarch,1871~72)などがある。
 ヴァーノン・リーと同様、ジョージ・エリオットも男性のペンネームを使って作品を発表していた。両者には共通点も多いと思われるが、リーのエリオットに関する言説は概ね批判的である。エリオットには偉大な作家という一面があるとしつつも、「芸術的観点からすれば、その著作に一冊として偉大な書がない」とまでリーは述べている。また、1884年の友人宛ての書簡の中で、ジョージ・エリオットの作品と自身の作品が似ていると言われることに対して、"perfectly abashes me"と述べている。(Complete Letters Volume 1, P. 608.)

The Mill on the Floss

 リーは『ことばの美学』の中でエリオットの文体を詳しく論じている。リーは自伝的性格の強い『フロス河畔の水車小屋』(The Mill on the Floss, 1860)をエリオットの最高傑作とし、この作品を例外としながら、他の『アダム・ビード』(Adam Bede, 1859)、『ダニエル・デロンダ』(Daniel Deronda,1876)らの小説形式を分析している。これらの小説の形式をリーは「場面(scene)で組み立てられた小説形式」と呼び、イギリスの3巻本(three decker)の典型的形式としている。そして、次のように述べている。「この形式はあの困難なもの、つまり直截的物語との妥協を示しているのです。そして、自伝、書簡、物語のなかの物語といった工夫が、〈作者〉にとってはことを容易にし〈読者〉にとっては効果をそぐような別な工夫にただとって代わられているだけなのです」(栗原・荒木訳)こうした形式は演劇的効果をあげるが、筋(action)を混乱させ、「その筋に対する構想を変えてしまう」としている。さらに、"no one, I am sure, would care to live with Romola or Daniel Deronda"とも書いている。(P.69)
 また、同書において、エリオットを「分析的な小説家」に分類している。(詳しくはこちら
 Baldwin収録の対話形式をとったエッセイ'On Novels'では、登場人物の一人であるDorothy Ormeは『ミドルマーチ』について、ドロシアとカソーボンの物語を、farcicalなものとせず、tragicなものとしたがゆえに嫌いだと述べている。
 ヘンリー・ジェイムズをモデルとした小説家が登場する短編小説'Lady Tal'では、リーをモデルにした小説家志望の女性 Lady Tal が自作Christinaに関して、エリオットに言及しながら次のように述べる。"On the whole, my one interest in life is evidently destined to be Christina, and the solution of all my doubts will be the appearance of the 'new George Eliot of fashionable life."
 エッセイ集Gospels of Anarchy収録の'Gospels of Anarchy'では『フロス河畔の水車小屋』のヒロイン、Maggie Tulliverの悲劇に言及している。

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